旅宿時雨・しぐれに

しぐれに

●現代語訳●
旅寝の宿で時雨にあっても戸を閉ざすようなことはするまい
その音を聞いたとしても、(涙で)濡れる袖なのだから
・・・・・・・・・・・・・・・

「〜だろうか、いやそうではない」という「かは」がうまく訳せなかったので、意訳してしまいました。
時雨の音が物思わしさを誘うものなのか、そういう例を探してみたかたのですが、某データベースが閉鎖中だったので、断念。
まあ大体旅寝に涙はつきものなのですね、風流人は。

この歌は嘉応二年住吉社歌合に出されたもので、題は「旅宿時雨」。
このときの判者俊成は
「くさまくら、いほりもささじとおもひすてて、おときくとてもぬれぬそでかはといへるを、いとおかしくみえ侍るを…」
と一応評価しつつも、相手の仲綱(頼政の息子)の歌を勝ちとしています。残念!

仲綱の歌は
「たまもふくいそやがしたにもるしぐれ たびねのそでもしほたれよとや」

私は、この経正の歌のなげやりな感じは結構好きなのですが。
ちなみに題詠なので、もちろん本当にこんな目にあったというわけではないのですが、マンガではせっかくなのでバーチャル旅宿時雨。
最初烏帽子を装着してみたのですが、なんかしっくりせず、はずしました。
いいんです、異様人だから。
(2008/02/22)

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