蛍・ゆふやみに

蛍・ゆふやみに

●現代語訳●
夕闇のなか飛びかう蛍が、そこに流れがあることをつげている
ここがまあ、あの玉川のあたりなのだろう

−−−
ひとりで夕闇のなかたたずむ姿が思い浮かびますが、
それじゃ三コマにならんと思い、有教くんをからめたところ
なんだか阿呆な漫画になってしまいました。

でも、経正朝臣集のなかでは好きなうたなんです。
蛍に水の気配を感じとるというところがいいではないですか〜。
きっと平安時代なんて「たそかれどき」になると、
もうあたりは夕闇にまぎれてくるんでしょう。

最初に見たときは「たまかは」となっていたので、
「ウッソ!うちの近くジャン!」と思った阿呆な多摩川べりの住人は私です。

たまがわ、は歌枕として他にもあちこちにありました。
ここはまあ穏便に、京都府の玉川だろうなあと思いました。
「わたり」は渡りか辺りか迷いましたが、今の玉川を見ると
舟は浮かべられなそうだったので、辺りの方で訳してみました。
この玉川、井出町というところにあるらしいのですが、
今では桜の名所で、花の季節になるとひとびとが枝に和歌を結びつけていくそうです。
…さすがみやこびと!!行ってみたい!結びつけたい!
(2008/05/10)

back