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■藤兵衛有教

藤原氏であろうが未詳

▼登場する主な章段
7竹生島詣・経正都落  (岩波文庫『平家物語』1999)

相変わらず地味な公式記録をたよりに、妄想の世界へ進んでいきましょう!

こむすび的有教

●いつも一緒
 というわけで経正の乳兄弟です。乳兄弟のなんたるかをよくわかっていないのですが、他の乳兄弟コンビたちのあつい絆がうらやましく、経正と有教も始終一緒にいるのでそういうことにしました。いかんせん経正からして出番がうっすらなので、始終と言いきってしまってよいのか、データ的に弱いところがありますが。どんな具合に一緒にいるかといいますと、まずは経正が北陸道へ追討へむかう際、琵琶湖あたりで留まってたときのこと。
湖のはたに打出て、遥に奥なる島を見わたし、供に具せられたる藤兵衛有教を召して、「あれをばいづくといふぞ」ととはれければ、「あれこそ聞え候竹生島にて候へ」と申。(「竹生島詣」)
それで竹生島詣にいくわけです。なんとセリフがあるんじゃないか、有教!
そしていよいよ都落のときにはこんな感じで↓
御室やがて御出あって(中略)召されければ、大床へこそ参られけれ。供に具せられたる藤兵衛有教を召す。赤地の錦の袋に入たる御琵琶持ッて参りたり。経正、是をとりついで…(「経正都落」)
 彼が青山をもって出てくるわけです。重要な役じゃないか、有教!
 でも伝未詳(涙)。なので、もう完全に自分勝手ですが、乳兄弟です。こむすび的経正はどうもかわいそうな目にあってばかりいるので、一人ぐらいこんな人がいてくれてもいいんじゃないかと。とはいえとっつきにくい経正に陽気にからむために、空気をよめない体当たりキャラになってしまいました。容姿的にも陽気な感じで、口は大きく、眉毛は太く!
 だんだん経正のかかえている葛藤とか苦悩に気づいていくと思うのですが、彼の明るさを失わずにそれを受けとめてほしいです。経正にはうっとうしいな〜と邪険にされながらも、最後には一番近くにいた人なんじゃないかと。妄想以外の何ものでもないのですが、そう思っています。がんばれ有教!


有教への道

●花ぞろへ
 伝未詳ですから、有教への道も何もないのですが、唯一平家物語以外で見つけた有教。『平家花ぞろへ』(慶応義塾図書館蔵)より
藤兵衛ありのり   あんゑもんもりのり
つね正の侍なり
だって。…そのままじゃないか!ていうか、守教さん。無視しちゃってごめんなさい。